近年、お墓を持たずにご遺骨を自然に還す自然葬を望む方が増えています。
海や山に散骨することも自然葬の一つですが、一般的な供養方法とは異なるため、分からないことも多く不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
散骨はマナーを守って正しく行うことが大切です。
ここでは、日本国内の散骨禁止エリアや散骨当日の服装に関するマナーなど、散骨のイロハをご紹介します。故人様の願いを叶え、新しい旅立ちとなる散骨を安らかに執り行うために、ぜひ参考にしてみてください。
目次
散骨は法律で問題はない?
ご遺骨を墓地に埋葬する方法は「墓地、埋葬等に関する法律」で定められています。しかし、お墓を持たない散骨は、墓地、埋葬等に関する法律とは関係がなく、散骨は法律の観点で問題はありません。
ただし、環境を守るという理由から散骨を禁止もしくは制限している自治体もあります。
自治体の条例違反と判断された場合は罰則が科せられることもあるため、あらかじめ詳細を確認しましょう。
出典:墓地、埋葬等に関する法律
散骨の方法と費用
散骨は、海や山、宇宙にご遺骨を撒く方法があります。ここでは、3つの供養方法と費用を紹介します。
1.海洋散骨
海洋散骨は、船で沖合まで出向き、ご遺骨や花びらを撒いて供養するのが一般的です。海洋散骨を禁止している地域でなければ、比較的自由に散骨ができます。
費用相場は、3〜30万円程度です。船をチャーターして散骨をするのか、業者に委託するのかなどによって費用は異なります。
関連記事:海へ散骨するには?知っておくべき散骨時の注意点や散骨の流れ・価格相場について
2.里山散骨
里山散骨は、山の中にご遺骨を撒く方法です。自身が所有している山であれば自由に散骨ができます。
自身の山以外で散骨をしたい場合は、専門業者に依頼するのが一般的です。その際の費用相場は、5〜20万円程度です。
関連記事:新たな葬送の形として海や山への散骨が注目される理由
3.宇宙散骨
宇宙散骨は、ご遺骨を専用のカプセルに納めてロケットで宇宙空間に打ち上げる方法です。ロマンが感じられる供養方法として、宇宙が好きな方や憧れを持っている方に選ばれています。
費用相場は打ち上げる場所やカプセルの種類によって異なりますが、一般的には120〜200万円程度です。
散骨までの流れ
初めて散骨をする場合は、どのような流れで散骨をするのか分からない方が多いのではないでしょうか。散骨の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 故人様の遺志を確認し、家族の同意を得る
- 散骨業者に依頼する
- 粉骨する
- 散骨する
まずは、家族や親族と話し合いをします。故人様が散骨を希望していても全員が納得していないと、トラブルになることもあります。事前にきちんと確認しておくことが肝心です。
家族や親族からの同意が得られたら、散骨の専門業者に依頼をします。散骨する場所や日程、移動手段などを相談して決めます。
散骨をするためには、ご遺骨を細かく砕く必要があります。専門業者にご遺骨を受け渡し、粉骨をしてもらいます。
当日の散骨式では、指定された場所に集合して散骨を行います。
海や山へ散骨する際の注意点
故人様やご家族のご希望で、ご遺骨を海や山などの自然の中で散骨したいと考える方も増えてきています。
しかし、どこでも好きな場所に撒いてよいものではありません。なかには散骨自体を禁止している、もしくは規制をかけている自治体もあります。
散骨禁止エリアと、散骨を依頼する際の注意点を確認しておきましょう。
規制・禁止エリアある自治体と地域を確認する
「いざ散骨しようとしたら散骨禁止区域だった・・・」ということにならないためにも、散骨場所や散骨のマナーについて調べておくことが大切です。
日本国内で散骨許可に関して規制を設けているのは以下の自治体です。
- 北海道長沼町
- 北海道七飯町
- 北海道岩見沢市
- 長野県諏訪市
- 埼玉県秩父市
- 埼玉県本庄市
- 静岡県御殿場市
- 静岡県熱海市
- 静岡県伊東市
散骨を禁止したり、条例を設けたりしている理由として地元住民と散骨事業者とのトラブルが原因になっていることが挙げられます。そのため、規制を設けている自治体の大半は散骨場を設置しようとする業者を抑制します。
また、これらの地域は散骨が禁止ではなく、あくまで条件を満たせば散骨も行えます。なお、北海道長沼町と埼玉県秩父市のみ、個人で行う散骨を禁止しています。
一方、これらの条件を満たす海洋散骨は、比較的個人でも業者へも依頼しやすい散骨方法といえます。
いくつかの業者に見積もりを依頼する
希望の地域に複数の散骨業者がある場合は、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。同じサービス内容であっても、業者によって料金が異なる場合があります。見積もりを比較することで、適正価格を知ることができます。
散骨証明書を発行してくれるか確認する
散骨証明書に法的効力はありませんが、どこにどのように散骨したのかを記録に残す大切な書類です。
散骨証明書には、散骨を行った日時や場所などが記載されます。これにより、親族に対して散骨の詳細を説明する際に役立ちます。
散骨する際のマナー
散骨をするときには服装やご遺骨と一緒に撒く品など、心がけるべきマナーがあります。
服装
葬儀には喪服で出席するのがマナーですが、散骨の際は喪服を避け、なるべく動きやすい服装をするのがおすすめです。
海や山で喪服を着た人が何らかの儀式を行う姿に対して、不快な思いをする方がいるかもしれません。
シーセレモニーの海洋記念葬でも平服でお越しいただくようにご案内しております。
粉骨
散骨を行う際、故人様のご遺骨は必ず粉骨(2ミリ以下のパウダー状)にする必要があります。これはご遺骨と分からないようにするためです。
ご遺骨と分かる大きさのものを撒くと「遺棄」と見なされ犯罪になるおそれがあり、それらの問題を回避します。
心を込めてご遺骨を砕くのも供養といえますが、粉骨は決して簡単ではありません。心理的負担を軽くするためにも業者に依頼するのがよいでしょう。
シーセレモニーでも粉骨を承っていますのでお気軽にご相談ください。
遺骨と一緒に撒ける品
散骨の際、ご遺骨と一緒に故人様の大切にしていた私物や花などを一緒に撒きたいというご遺族もいます。
その際、セロファンやビニールといった素材のものをはじめ、自然に還らないものは撒かないようにしましょう。故人様の供養という大切な儀式が、万が一でも海洋汚染の原因にならないように配慮が求められます。
また、花は、花びらの部分のみを撒くようにするのがマナーです。
シーセレモニーの散骨エリア
シーセレモニーでは自社保有のクルーザーで海洋散骨を行っています。
ご遺族がクルーザーを貸切にして行うプラン、複数のご遺族が同乗する合同散骨、スタッフがご遺族に代わって散骨を行う代理散骨など、ご遺族の都合や予算に合わせたプランをそろえています。
散骨の場所は東京・横浜・湘南・大阪・沖縄・ハワイなどの地域に対応しています。ここでは、特に利用される方が多い3つのエリアを紹介します。
1.東京エリア
東京エリアの散骨場所は羽田空港と東京ディズニーリゾートの沖合です。京浜運河を通り、波の影響を最小限に抑えたルートで散骨エリアへ向かいます。
2.横浜エリア
横浜エリアの散骨場所へは、みなとみらいからベイブリッジを眺めながら進みます。ベイブリッジを超えた先にある大黒ふ頭の沖合で散骨を行います。湘南エリアでは、江の島の西側にある海域で散骨を行います。
3.湘南エリア
湘南エリアは江の島の西側にある海域で散骨を行います。この辺りはお天気がよければ富士山や伊豆大島が見える絶好のロケーションです。乗船場所はコンシェルジェにお問い合わせください。
代理散骨もおまかせ
ご自身で散骨を行うことが難しい場合でも、代理散骨であればシーセレモニーのスタッフが責任を持って散骨を行います。さまざまな理由で乗船が難しいというご遺族や、ご自身にご親族がいない方が生前に予約されてご利用いただいております。
ご遺族が乗船する貸切プラン・合同プランと同様、シーセレモニーのスタッフが心を込めて故人様の散骨を行い、散骨後に散骨証明書を発行いたします。
散骨は東京エリア、羽田空港沖で月1回のペースで実施しています。散骨日は月に1回の頻度で行っており、タイミングによってはほかの故人様の散骨と一緒に行う場合もあります。
代理散骨の場合、事前に故人様のご遺骨を粉骨(パウダー状)にして、お持ちいただくか郵送していただきます。シーセレモニーでも粉骨を承っておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
シーセレモニーで節度を持った散骨を
シーセレモニーでは、海洋散骨を行うご遺族に散骨の決まりや散骨当日の流れ、散骨マナーなどをお伝えしています。
そのほか、クルーザー内の設備やルール、献花のためのお花など、散骨当日について気になることがあれば「よくあるご質問」のページをご覧ください。
お寺やお墓が関わらない散骨は自由に思われるかもしれませんが、決してそうではありません。散骨に関するルールやマナーを守ることが大切です。トラブルを避けるためにもルールやマナーを熟知している専門の業者に依頼することをおすすめいたします。
大切な故人様の旅立ちを、節度を持った葬送セレモニーで送り出してみてはいかがでしょうか。