これまでの日本の供養といえば、先祖代々のお墓に納骨し、節目ごとにお参りをするといった方法が一般的でした。
しかし、近年お墓を持たない供養方法を選ぶ方が増えています。少子高齢化や価値観の変化に加え、スピリチュアルな考え方を大切にする方が「形にとらわれない供養」を求めている背景も関係しています。
今回は、スピリチュアルの意味やお墓との関係、おすすめの供養方法を詳しく解説。故人様を自然へ還すシーセレモニーの海洋散骨についてもご紹介します。
目次
スピリチュアルとは
スピリチュアルとは、目に見えない世界や神秘的な現象、霊的な存在に関わる概念です。自己理解や宇宙とのつながりを探求する手段としても注目されています。
英語の「spiritual」は、ラテン語の「spiritus(魂・息)」に由来した言葉で、魂や直感、エネルギーなど非物質的なものに価値を置く考え方です。
日本でも、霊的な体験や第六感、直感を大切にする方が多く見られます。こうしたスピリチュアルな価値観は、供養のスタイルにも少しずつ影響を与えてきました。従来の「お墓」という物理的な形にとらわれず、心に寄り添う自由な供養を選ぶ動きが広がっています。
スピリチュアルとお墓の関係性
そもそも供養とは、遺された家族が故人様を偲ぶ大切な行為です。つまり、お墓という形がなくても、供養は十分に成り立つものといえます。
そのため、スピリチュアルな価値観を重視する方の中には、お墓を構えること自体に疑問を抱く方も少なくありません。
こうした背景から、形式にとらわれず、自分たちのライフスタイルや故人様への想いに合った供養方法を選びたいという方が増えています。
なかでも、「お墓を持たない供養方法」は注目を集める新しい選択肢の一つです。
お墓を持たない供養方法が選ばれている背景
近年、ライフスタイルの多様化に伴い、お墓を持たない供養方法を選ぶ方が増えています。少子高齢化や都市部への人口集中、経済的な負担の軽減などが主な理由です。
また、スピリチュアルな観点からも、お墓という形式にとらわれず、心に寄り添う自由な供養が注目されています。
後継者問題
少子高齢化や核家族化が進む中、「お墓を守る人がいない」という問題が増えています。
お墓の後継者不足から、先祖代々のお墓を維持することやこれまでの供養方法を続けることが困難になりつつあるのです。
こうした背景から、お墓を持たない新しい供養方法への関心が高まっています。
価値観の多様化
人々の死生観や家族観が変化し、従来の「お墓」にこだわらない考え方が広く受け入れられるようになってきました。それに伴い、スピリチュアルな死生観も広がりつつあります。
「死後は魂が自然に還る」「魂は特定の場所にとどまらない」といった考え方がその一例です。こうした価値観から、散骨や樹木葬など、自然と一体になる供養方法を選ぶ方が増えています。
経済的な理由
お墓を建てるには多額の費用がかかります。墓石代や永代供養料などを含めると、300万円以上になるケースも珍しくありません。また、お墓を建てたあとも年間管理費が発生します。
こうした経済的な負担を理由に、お墓を持たずに供養する方法を選ぶ方もいます。
管理の手間からの解放
お墓の維持・管理の負担も、お墓を持たない供養方法が選ばれる理由の一つです。特に遠方にお墓がある場合、お参りのたびにかかる時間や交通費は大きな負担となります。
高齢になると体力的な理由からお参りが難しくなるケースも少なくありません。
また、定期的な掃除や草むしりといったお墓の管理も手間になるため、こうした負担を軽減したいという理由で新しい供養方法を考える方が増えています。
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スピリチュアルに関心がある方におすすめの供養方法
具体的にお墓を持たない供養方法にはどのようなものがあるのか、スピリチュアルに関心がある方におすすめできる代表的な方法をご紹介していきます。
散骨
散骨とは、故人様のご遺骨を粉末化し、海や山などの自然の中に撒く供養方法です。
撒く場所によって、「海洋散骨」や「里山散骨」などと呼ばれます。「死後は自然に還りたい」といった思いを持つ方が選択するケースが多いです。
また、ご遺骨をカプセルに収めて宇宙空間に打ち上げる「宇宙葬」も、広義では散骨の一種とされています。
スピリチュアルな価値観の中でも、「魂は宇宙へ旅立つ」という考え方に共鳴する方に支持されています。
樹木葬
樹木葬とは、シンボルとなる樹木の下にご遺骨を埋葬する供養方法です。散骨と同じ供養方法だと思われがちですが、性質は異なります。
散骨が「撒く」行為であるのに対し、樹木葬は「埋葬」する行為です。そのため、樹木葬は法律上、墓地として認可された場所でしか行えません。
自然と一体になるイメージや、無宗教的で自由な雰囲気を求める方に人気があります。
手元供養
手元供養とは、ご遺骨の一部または全部を自宅に保管し、身近な場所で供養する方法です。故人様をいつも近くに感じられる点や、自分らしいスタイルで供養ができる点が大きな魅力です。
また、ご遺骨をアクセサリーに加工して、肌身離さず持ち歩く方も多くいます。こうした方法は、スピリチュアルな視点で「魂のつながり」を大切にしたいという方にとって、特に心に寄り添う選択肢となっています。
シーセレモニーの海洋記念葬
シーセレモニーでは、散骨を通じて故人様の新たな旅立ちの日を「記念日」として心に刻んでいただきたいという想いから、海洋散骨を「海洋記念葬」と呼んでいます。
この海洋記念葬では、ご家族だけでクルーザーを貸切にして、ゆっくりとお別れの時間を過ごせる「ファミリー散骨プラン」や、さまざまなご事情により散骨に参加できないご遺族に代わり、スタッフが心を込めて散骨を行う「代理散骨プラン」など、利用しやすいプランをご用意しています。
また、散骨に必要な「粉骨サービス」や、故人様を偲ぶ「年忌法要クルーズ」など、故人様やご遺族の想いに寄り添った多様なサービスを展開。年忌法要クルーズでは、節目のタイミングで散骨を行った海域を再び訪れ、故人様を静かに偲ぶことができます。
海洋散骨に興味を持たれましたら、どうぞお気軽にシーセレモニーまでお問い合わせください。