故人様の葬儀のあとに行うこととして、考えなければならないのが納骨や散骨のタイミングです。火葬を終えたご遺骨はしばらく自宅に置いておき、四十九日までに納骨する、という流れをどこかで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
また散骨という供養方法を選ぶ場合には一般的なタイミングが分かりづらく、より一層その時期に迷ってしまうかもしれません。
そこで今回は納骨や散骨に決まったタイミングはあるのかについて解説します。
目次
納骨や散骨の時期に決まりはない
葬儀が終わり故人様のご遺骨を自宅に持ち帰ったら、そこからしばらくは故人様とご遺族が自宅でゆっくりとできる時間です。仏式であれば基本的には四十九日までご遺骨を安置し、四十九日に祭壇をロウソクや線香、花やお供え物で飾りつけします。
納骨は四十九日に行う方が多いため、四十九日までに済ませなければならないと考えがちですが、実際はそのようなことはありません。遅くても三周忌までには納骨をする、というのが一般的な考えのようです。
また散骨も同様に、いつまでに散骨を行うべきとの決まりはありません。
葬儀後はお墓や納骨堂などに納骨するのが一般的
葬儀後のご遺骨はお墓や納骨堂などに納骨します。納骨をする場合、以下の3つのパターンに分けられます。
納骨する場所 | 概要 |
1.すでにあるお墓に納骨する | 先祖代々継承されてきたお墓がある場合は、カロートと呼ばれる部分へ納骨する |
2.新しいお墓に納骨する | 新しくお墓を建立する場合は、墓石に魂を入れる「開眼供養」を行ったあとに納骨する |
3.納骨堂に納骨する | 指定の納骨スペースにご遺骨を納める ロッカー式や仏壇式などの種類がある |
納骨のタイミング
納骨のタイミングに決まりはありませんが、最も一般的なのは「四十九日法要」です。仏教の宗派によって異なりますが、人が亡くなってから四十九日後にその人が極楽浄土へ行けるかどうかが決まるとされているため、その日は一つの区切りとして納骨を行うのに適したタイミングであるといえます。
新たにお墓を建てる場合には、お墓が完成する時期に合わせ「百か日法要」と呼ばれる命日から100日目のタイミングで納骨を行うこともあります。
また遠方に住むご親族が集まり、家族・親戚がそろったときに納骨をしたい場合には、「一周忌法要」のタイミングで納骨を行う人も多いです。ご遺族の都合やお墓の有無によって納骨のタイミングを決めましょう。
火葬後に分骨しておくという選択肢も
複数のお墓に納骨する場合や、納骨・散骨とそれぞれの供養を考えている場合、証明書があれば分骨して納骨することも可能です。葬儀の段階で分骨することが決まっている場合は、火葬場で分骨証明書を依頼しておくとスムーズに発行してもらえます。
納骨や散骨をする際の注意点
納骨や散骨の時期に期限はありませんが、以下の点に注意しましょう。
ご親族と話し合って決める
ご自身だけで供養方法やタイミングを決定してしまうと、周囲から反対される可能性があります。特にお墓以外の納骨堂や散骨などを選ぶ場合は、なじみがないことから抵抗感を覚えるご親族の方がいるかもしれません。
円滑な供養ができるようにご家族やご親族とお互いの意向を尊重しながら、話し合って決めることが大切です。
必要な費用を事前に確認しておく
一般的なお墓に納骨する際には、僧侶を招いて納骨式を行います。その際に以下の費用が必要です。
- 僧侶へのお布施
- お車代
- 彫刻料
- 御膳料
これらの費用相場は合計で10万円程度といわれています。このほか石材店への依頼料も必要になる場合もあるので、事前に費用を用意しておきましょう。
墓石を建てる場合は時間がかかることを考慮する
新しく墓石を建立する場合には、それなりの時間が必要です。土地の決定や墓石の発注、建立までには約1〜3ヶ月の期間がかかります。これらを考慮すると、納骨式の日から逆算して3ヶ月程度の余裕を持っておくと安心です。
散骨のメリット・デメリット
近年お墓に納骨する以外の方法として散骨を選ぶ人が増加しています。散骨は海や山にご遺骨を還す新しい葬法方法です。散骨を希望する場合は、メリット・デメリットを理解しておきましょう。
散骨のメリット
散骨のメリットとして、以下が挙げられます。
- 故人様の希望を尊重できる
- 継承者がいなくても供養できる
散骨は故人様の生前の希望を尊重できる葬送方法の一つです。「死後は自然に還りたい」「海や山などの特定の場所で眠りたい」という故人様の希望を実現できます。具体的なメリットを紹介します。
維持費がかからなくなる
散骨をすると寺院との関係もなく、管理料の支払い義務もないため、維持費がかかりません。
一周忌や各種法要は食事会形式で行われることが多く、ご親族が故人様の写真を持って集まり、気軽な雰囲気で話をします。食事会そのものは会費制で実施されることが一般的で、出欠確認や幹事など儀式を引き継ぐ側の負担は少ないでしょう。
お墓参りができなくても安心
次の世代への負担を軽減できるのもメリットです。お墓のような維持管理が不要なため、後継者がいない方や子ども世代に負担をかけたくない方に選ばれています。
核家族化が進み、住む場所を自由に選択できるようになったことで、先祖代々のお墓から遠く離れた場所に住んでいる家族も少なくありません。
その結果、「家族の誰も地元に残っていないので、お墓の面倒を見る人がいない」といった問題が生じています。お墓を移転するのも一つの選択肢ですが、海洋散骨も問題を解決する方法となります。
お寺や霊園が倒産する不安がない
お寺や霊園はおおむね安定していますが、倒産する可能性がないとは言い切れません。お寺や霊園が倒産した場合に問題になるのは、預けた遺骨の引き取りを求められることです。
返却された遺骨は、引き取ってくれる別の受け入れ先を本山に相談するのが一般的です。ただし別の受け入れ先を探すことは時間もかかり、時には費用もかかります。しかし散骨ならその心配はありません。
散骨のデメリット
近年注目されている散骨には、メリットだけでなくデメリットもあります。
- お墓参りができない
- ご家族やご親戚から理解されにくい
散骨はお墓のような故人様を偲ぶ場所がないのがデメリットです。そのため、「心の拠り所がない」と寂しさを感じる方もいます。また散骨はご家族やご親戚から理解されにくいことがあります。
ご親族の理解が得られない可能性がある
現在遺骨はお墓や納骨堂に埋葬するのが一般的であるため、家族やご親族間で意見の相違が生じることがあります。
新しい葬送方法への抵抗感や理解不足から、散骨を望んでいるご自身とご親族との判断の折り合いが付けにくい場合があります。ご自身が散骨する場合は、ご親族と事前によく話しておくことも重要です。
ご親族間の問題を未然に防ぐためにも、散骨の前にしっかりと話し合いましょう。
遺骨が手元に残らない
散骨を行うと遺骨が手元に残らなくなります。そのためすべてを散骨せずに、一部を手元に置いて「自宅供養」することをおすすめします。
小さな骨壷やアクセサリーに納めることで、故人様のことを身近に感じられるでしょう。海洋散骨をしてから後悔しないよう、遺骨の取り扱いは慎重に決める必要があります。
お墓参りができない
散骨をするということは、お墓がないということです。そのため、お墓参りに行くことができません。お墓がなくても、自宅の仏壇や自宅供養でお参りすることはでき、散骨した海に行って祈ることもできます。
また一部の遺骨を残しておくことで、お参りの場所を確保する方法も存在します。
シーセレモニーで行う海洋散骨
シーセレモニーの海洋散骨プランでは、東京・横浜・湘南・千葉・高松等の海で故人様のご遺骨を散骨できます。また、ハワイやグアムといった海外での海洋散骨にも対応しています。
方法としてはご遺族がクルーザーに乗船して行う『ファミリー散骨プラン』と、スタッフがご遺族に代わって散骨を行う『代理散骨プラン』があります。
散骨を行うタイミングは、お墓に納骨する場合以上に人それぞれです。故人様の記念日や、ご親戚が集まりやすい時期などに計画されるケースは多いですが、何よりも大切なのはご遺族の気持ちです。気持ちの整理がつくまでは、ご自宅での手元供養を行うこともできます。
分骨して手元供養する方法も
「いつまでも故人様を身近に感じていたい」「すべての遺骨を散骨したくない」というご遺族には、分骨後にご遺骨を手元において偲ぶことのできる手元供養もおすすめです。
地方に住むご親族と都心に住んでいるご親族がいる場合、それぞれに分骨するのが一般的ですが、分骨して近くにお墓を建てたり、本来のお墓とは別に身近な場所で供養することで、お墓参りの負担を軽減することも可能です。
また代々受け継がれてきたお墓に納骨するだけでなく、分骨して身近な場所や方法で供養すれば、いつでも故人様を身近に感じることができるでしょう。
散骨を選択する方のなかには、自宅での供養と組み合わせて、故人様の冥福を祈る人も多いです。
シーセレモニーでは手元供養を希望されるご遺族のために、ご遺骨を入れられるネックレスや指輪などのジュエリーや、インテリアになじみやすいおしゃれなプチポットなどの『手元供養品』も用意しています。
法要クルーズもおまかせ
シーセレモニーでは、散骨後の『年忌法要クルーズ』も承っています。故人様の命日や散骨した日に再び同じ場所に出向いて供養ができます。
他社で散骨を行った場合でも、対応可能な海域であれば貸切クルーザーで会食を楽しみながらの法要を行うことが可能です。
故人様の希望とご遺族の気持ちを大切にしてプランを立てよう
納骨や散骨のタイミングには決まりがないため、基本的には故人様やご遺族の希望で決めることができます。
大切なのは、故人様の生前の希望を尊重することです。故人様の生前の希望が分からない場合は、ご遺族の気持ちが落ち着いた段階で納骨や散骨のタイミングを決めると良いでしょう。まずはご親族一同できちんと話し合ってみることをおすすめします。
シーセレモニーでは、ご遺族の希望や予算に合わせて海洋散骨や法要クルーズを実現するためのプランやクルーザーをそろえています。気になる方はぜひお気軽にご相談ください。