海や山への散骨を希望する方が増えています。散骨をする際には、ご遺骨をあらかじめパウダー状に粉骨しておく必要があります。
粉骨は業者に依頼するのが一般的ですが、「費用を抑えたい」「自分の手で丁寧に遺骨を扱いたい」と考える方もいるでしょう。ただし、自分で粉骨を行うには、専用の道具や適切な環境の準備、法律や衛生面に関する注意点を守る必要があります。
今回は、粉骨が必要な理由や必要な手続き、注意点について詳しく解説します。
目次
粉骨と散骨
粉骨とは何か、また散骨において粉骨の重要性を見ていきましょう。
粉骨とは?
粉骨とは、遺骨を細かく粉砕してパウダー状にすることです。一般的なお墓への埋葬では粉骨は必要ありませんが、散骨や手元供養、樹木葬など特定の供養方法では粉骨が求められます。特に散骨の場合、遺骨を自然に還すためには粉骨が不可欠です。
散骨に粉骨が必要な理由
散骨には、海洋散骨や里山散骨などがあり、いずれの場合も事前に粉骨を行うことが必須です。遺骨を海へまくときには、一目で骨であることが分からないように、2mm以下のパウダー状に粉砕しなければなりません。
これは、厚生労働省の「散骨に関するガイドライン」に基づいており、形状が分からないようにすることが求められています。「2㎜以下」という点に関しては、散骨事業者が自主的に規制したことによってルール化されています。
粉骨を行わず、明らかに遺骨と分かる形で散骨をすると、「墓地、埋蔵等に関する法律」に違反する可能性があるため注意が必要です。また、遺骨を骨だと分からない形にして散骨するのには、近隣にお住まいの方々の心情に配慮する意味もあります。
自分で粉骨することは可能?
個人でご遺骨を粉骨することは可能です。粉骨を行うために特別な資格や許可は必要ありません。難しい技術も不要で、適切な道具があればどなたでも行えます。ご遺骨を細かく砕くこと自体は違法ではなく、許可や申請も不要です。
粉骨を専門の業者に依頼することもできますが、自分の手で粉骨を行うことで、心を込めた供養ができることや、経済的な負担を軽減できるという理由から、自分で散骨を選ぶ方もいます。
ただし、故人様の遺骨を全て細かく粉砕することは、体力的な負担はもちろん心理的負担も大きくかかります。少しでも不安や疑問がある場合は、専門業者へ依頼することも検討しましょう。
粉骨に必要な道具
ご自身で粉骨を行う場合、素手では作業が難しく、焼骨を細かく砕くための適切な道具が必要です。主に使用する道具は以下のとおりです。
すり鉢や乳鉢
焼骨を細かく砕くために必要な基本的な道具です。小さすぎる乳鉢では作業がしづらいため、ある程度大きさのあるものを選びましょう。
木槌や金槌
硬い部分を砕くために使用します。焼骨の中には硬く大きな部分もあるため、これを小さくする際に役立ちます。
すりこぎ
すり鉢と組み合わせて使用し、焼骨を細かく砕くための補助道具です。
手袋やエプロン
衛生面や安全のために、手袋やエプロンを着用することが推奨されます。
焼骨はもろい部分と硬い部分が混在しており、もろい部分は手で簡単に砕けることがありますが、硬い部分は慎重に処理する必要があります。硬く大きな部分は袋に入れて布やタオルで包み、木槌を使って小さくします。また、道具をレンタルできる業者もあるため、粉骨の準備をする際に検討してみると良いでしょう。
自分で粉骨する際の注意点
散骨を考えている方のなかには、大切な方のご遺骨を自分の手で粉骨したいと願う方も多いでしょう。しかし、粉骨作業にはいくつかの注意点があり、慎重に行う必要があります。普段あまり使わない道具の準備や作業そのものに根気が必要であり、硬い骨を砕くための作業には力を使い体に負担がかかることもあります。
また、粉骨をする際には周りの方々の目に触れないように配慮することも必要です。ご自身が気持ちを込めて粉骨したいと思っていても、つらいと感じるご家族がいるかもしれません。
そのほかにも、自分で粉骨を行う際にはいくつかの大切な注意点があります。
洗浄と乾燥の必要性
長期間お墓に納められていたご遺骨は湿気を含んでいる場合があり、そのままではサラサラの粉状にすることが難しいです。このような場合、まずご遺骨を丁寧に洗浄し、異物を取り除いた後、しっかりと乾燥させる行程が必要です。
天日に当て自然乾燥させる際は、ご近所の目に触れないよう配慮し、風で飛ばされないように注意しましょう。乾燥剤やドライヤーでも効果的に乾燥させることができます。
六価クロムへの対策
火葬台に使用されるステンレスやクロムメッキの影響で、遺骨に六価クロムが付着する場合があります。この物質は毒性が強く、環境汚染や人体への悪影響を引き起こす可能性があります。
粉骨を行う際には六価クロムの有無を確認するテストを行い、検出された場合は専用の中和剤を使用して安全に処理しましょう。
心理的負担が大きい
故人様を大切に思うがゆえに「自分の手で心を込めて粉骨したい」という気持ちになるのは自然なことです。しかし、実際には長時間の作業が必要であり、体力的にも精神的にも大きな負担がかかることもあります。
遺骨の洗浄や乾燥といった工程が加わる場合には、さらに負担を感じることが多いです。また、粉骨作業が家族、親族にとってつらい体験になる場合も考えなくてはいけません。ご遺族が穏やかな気持ちで故人様を供養するためには、専門業者に依頼して負担を軽減することも検討しましょう。
専門業者であれば、洗浄や乾燥、粉骨も専用機器で行い、適切かつ丁寧に対応してくれます。
粉骨後の遺骨の保存と散骨までの管理
遺骨を粉骨した後の適切な保存と管理は、散骨をスムーズに進めるために重要です。粉骨後のご遺骨は細かい粒子状になっているため、管理は十分に注意しましょう。以下に、粉骨後の保存や管理のポイントを解説します。
専用の容器や紙袋を使用
粉骨後のご遺骨は、蓋がしっかり閉まる専用の容器や袋に入れて保管してください。密閉容器を使用することで、空気中の湿気や酸素を遮断し、サラサラの状態を維持できます。
海洋散骨を予定している場合には、専用の水溶性紙袋を用いて梱包し保管するのが一般的です。散骨の際にも手間が省け、スムーズに供養ができます。
保管環境にも注意
遺骨を保管する場所にも気を配る必要があります。高温多湿の環境は避け、風通しの良い場所を選びましょう。また、直射日光が当たる場所では容器の劣化を早める恐れがあるため、窓から離れた場所や日陰での保管がおすすめです。
粉骨を業者に依頼した場合の費用相場
粉骨を専門業者へ依頼する場合の費用相場は、約30,000円です。機械を使用する場合と、全て手作業で行う場合で金額は異なります。
また、自然散骨を行っている業者では、散骨プラン粉骨作業が含まれているケースも多いです。
粉骨するために必要な道具をそろえたり、保管環境を整えたりと、さまざまな点に注意が必要な作業のため、信頼できる専門業者へ依頼することを検討するのも一つの方法です。事前にサービス内容や費用を確認し、安心して任せられる業者を選びましょう。
信頼できる専門業者へ依頼するのが安心
粉骨を自分で行うことは違法ではなく、時間と労力をかければ大切なご遺骨をきれいな粉状にすることは可能です。しかし、心理的・体力的に負担を感じる方は少なくありません。そのような場合は、無理をせず専門業者に任せましょう。粉骨を専門業者へ依頼する際は、ご遺骨を故人様そのものとして大切に扱ってくれる業者を選ぶとより安心できます。
シーセレモニーでも粉骨サービスを行っており、海洋散骨に適した状態に遺骨を整える準備をお手伝いしています。
ご遺骨はお持ち込みいただくか、東京23区内であれば出張料はかかりますがお引き取りも可能です。遠方の場合はゆうパックにてお送りいただけます。
故人様の旅立ちのお支度を、スタッフ一同心を込めてサポートいたします。粉骨に関する疑問や不安、気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。