家を新築しようと思い立った場合、さまざまな情報を集めますが、その途中で「地鎮祭」という行事を耳にするはずです。日本に古くからある行事ということは分かっていても、法律で義務付けられているわけではないため「いまどき、地鎮祭ってやったほうがいいの?」と悩まれる方も少なくありません。
そこで今回は、地鎮祭とは具体的にどのような行事なのか、現代の日本で個人が地鎮祭を行う場合の流れや費用について詳しく解説をしていきます。
地鎮祭とはどのような儀式?
地鎮祭とは、更地状態の土地に新しく家や建物を建てる前に行う儀式です。日本書紀にも記されているほど、日本の伝統的な風習です。
3つの意味がある儀式
地鎮祭には、大きく3つの意味があるといわれています。
1つ目は古くからその土地を守っている氏神様に対して土地を使用する許可を得るためです。2つ目は建築工事中の安全祈願です。最後の3つ目の意味は、その土地を使用する(住む)人の繁栄が込められているといいます。
地鎮祭はいまどき行う?
地鎮祭は日本古来の風習・儀式ですが、法律的に必ず行わなければならないわけではありません。時代の変化や家を建てる人の意向で、近年は地鎮祭を行わないというケースもあるようです。
しかし、現在における地鎮祭は、宗教的な意味合いよりも工事関係者の安全を祈願するといった意味合いのほうが大きいため、できることなら行ったほうがいいでしょう。
地鎮祭は建築会社に相談
基本的には、建築会社から地鎮祭の提案があり、その内容や日程を相談しながら決めることができます。また、最近では簡略化された地鎮祭もあるので、施主の都合に合わせて最適なスタイルを選ぶことができます。
地鎮祭は、新築工事の安全を祈願する大切な儀式です。建築会社と相談しながら、地鎮祭を行うのが良いでしょう。
地鎮祭の当日の流れ
地鎮祭は地域によって多少の違いはありますが、大半は30分程度で終了します。以下は、一般的な地鎮祭の当日の流れです。
1.修祓(しゅばつ)の儀
お供え物と参列者を神主が祓い清めます。
2.降神(こうしん)の儀
その土地にいる氏神様を迎えます。
3.献饌(けんせん)の儀
氏神様にお供え物を奉納します。
4.祝詞奏上(のりとそうじょう)
工事中の安全と家の繁栄を祈願します。
5.四方祓い(しほうはらい)
神主が土地の四隅と中央をお神酒、塩、白紙で清めます。
6.鍬入れ(くわいれ)の儀
祭壇の横に盛られた砂山に神主から受け取った鍬で施主が掛け声と共に三度掘る仕草をします。
7.玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串を氏神様に捧げます。
8.撤饌(てっせん)
お神酒と水の蓋を閉じて、お供え物を下げます。
9.昇神(しょうじん)の儀
神様を送り返します。
10.神酒拝戴(しんしゅはいたい)
お供え物だったお神酒を参加者全員で飲みます。
11.神官退下
神主が退場して終了です。
地鎮祭は片付けなども含めても2時間程度で終了しますが、騒音トラブルなどを引き起こさないためにも、自分の家の両隣や前後のお宅挨拶をしておくことが大切です。
地鎮祭の服装
地鎮祭は伝統的な行事であるため、服装にもある程度は気を使う必要があります。例えば、成人している場合はスーツを着用するのが一般的です。また、学生の場合は制服が無難です。
しかし、個人宅であれば過度に派手な服や部屋着のような簡素な服でなければ問題はないでしょう。
自分が施主になって家を建てる機会は、一生に一度あるかないかイベントです。したがって、自分にできる最大限の地鎮祭を行い、工事中の安全祈願をしてみてはいかがでしょうか。