「故人の『海に還りたい』という願いを叶えてあげたいけれどどうしても船に乗ることができない…」 「遠方に住んでいて、立ち会うことが難しい」
散骨をご検討される中で、このようなお悩みを抱えているご家族様は少なくありません。
大切な方のお見送りを他人に託すことに対して、寂しさや不安を感じられる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、たとえその場に立ち会えなくても、ご家族様が故人様を思うお気持ちに変わりはありません。
だからこそ、私たちがご家族様の「手」となり、そのお心ごと大切にお預かりし、海へとお連れする。それが私たちの行う「代理散骨」です。
ご乗船が難しいご家族様に代わり、冬の時期に東京ゲートブリッジ沖にてご散骨を執り行いました。
その際の様子をご紹介いたします。

今回使用したのは、自社船である定員6名の小型クルーザー「リリー号」。
出航時はあいにくの曇り空でしたが、雲の隙間から差し込む柔らかな光が海面を照らし、かえって厳かで静かな、心落ち着く船出となりました。
船内では、ご家族様がそばにいらっしゃる時と同じ作法で準備を進めます。
テーブルには、色鮮やかなお花と献酒用のお酒、そして水溶性の紙袋にお包みしたご遺骨を丁寧にお供えします。
スタッフ一同、襟を正し、これから始まるセレモニーに向けて心を整えます。

船がゲートブリッジ沖のポイントへ到着すると、いよいよ散骨の儀を執り行います。
エンジンを止め、波の音だけが響く静寂の中、スタッフが故人様へ深く手を合わせます。
ご家族様からお預かりした「ありがとう」の想いを込め、敬意をもってお見送りさせていただきました。

故人様が海へと還っていかれた後、海を清めるためのご献酒を行い、最後にお花を手向けます。
風に舞いながら海面に降り注ぐ色とりどりの花びらは、まるで故人様の新たな旅立ちの道標のようです。
遠くを行き交う船や、どこまでも広がる空に見守られながら、故人様が自由な旅へと出発されたことを実感する、とても穏やかで温かい瞬間でした。

ご家族様が乗船されない代理散骨だからこそ、私たちは「記録」にもこだわります。
当日の空の色、海の輝き、そしてお見送りの瞬間。「ちゃんと見守ってくれているんだな」と、後から写真をご覧になったご家族様にその場の空気まで感じていただけるよう、一枚一枚大切に撮影し、帰港いたしました。

散骨は、決してお別れのためだけのものではありません。
ふと海を眺めた時、波の音を聞いた時、いつでも故人様とつながることができる。
そんな「心の拠り所」となるお見送りのお手伝いを、私たちはこれからも心を込めて続けてまいります。

